【インタビュー】 個々の成長を促す社風の土台づくりに キャリアストーム研修

株式会社大窪鐵工所 取締役 生産管理部部長

大窪 健太郎さん

聞き手:箕作千佐子(メイン講師/キャリアストーム開発者)

これまで、インターンシップや社内研修でビズストームを多数ご活用いただいている株式会社大窪鐵工所様が、この度キャリアストーム研修を新たに取り入れられました。同社の後継者であり、ご自身がビズストームの認定インストラクターでもある、生産管理部部長の大窪健太郎さんに、研修の1カ月後にお話を伺いました。


――この度は、キャリアストーム研修をご採用いただきありがとうございました。早速ですが、キャリアストーム研修を実施されたきっかけを教えて頂けますか?
はい。ちょうど、当社では『個々人の成長を促進し、より幸せな人生を実現する』というスローガンのもと、2023年2月からの運用に向けた人材育成制度の確立に取り組んでいたところだったんです。しかし、制度の枠組みだけあっても成長し、活躍していくことに幸せがあるという価値観が揃っていないと、機能しない恐れがあると感じていて、「心の部分を統一する」方法を模索していたんです。そんな時にキャリアストームの案内が目に入り、ホームページを見て、従業員の価値観を揃える最適な研修だと思ったのがきっかけでした。そこで、すぐに箕作さんにお電話したのが始まりです。

 

――そうでしたか。本当にタイミングが良かったんですね。こちらも大窪さんにおすすめしたいと考えていたところでしたのでご縁を感じます。キャリア研修を実施されるのは今回が初めてと伺いましたが、率直に、研修を受けた印象はいかがでしたか?
「学ぶ」という点に力点が置かれているのがいいなと思いました。改めて、学び続けることの大切さに気付きました。

私自身がゲームをする時に意識したことですが、10代のうちに借金して大学に2つ通ったんです。33歳の今、現実の自分に対して感じている後悔を挽回する動きをしてみたんですが、これが、かなりいい結果に繋がりました。

それに、いままで結婚は負担の方が多いだろうと思っていたのですが、家族を持つことで対人スキル向上になり、自分が大変な場面でも、家族の存在によって救われる等、仕事にもいい影響を与えるのだなと思うようになりました()

 

――ゲームの内容も、家族の支えを感じられる設計になっているので、そのあたりを感じ取っていただけて嬉しいです。ゲーム内では家族という表現ですが、友人など大切な人との関係のことだとお考えいただけたらと思います。

――ゲーム中の従業員さんの様子はいかがでしたか?
みんな楽しくプレイしていたと思います。ルールの理解が早かった人は、他の人の指導をしたり、普段の仕事ぶりがそのままゲームにでていたところも興味深かったです。人間性がわかるゲームですね。こういうコミュニケーションもいいなと思いました。

 

――御社の社風もあって、上司部下や入社年次の垣根なく自由なコミュニケーションで楽しんでいただけた様子が印象的でした。

 ――ゲーム中には、企業やフリーランス、転職などが登場しますが、この点は会社としてご不安ではありませんでしたか?
個人的には、むしろ良かったと思います。今回は、研修参加者の編成を上司・部下の組み合わせにしていたこともあって、上司にはプレッシャーだったかもしれませんが、危機感を醸成するには良かったのかなと思います。

 

――選択肢を隠すのではなく、示すことでモチベーションを上げるのは、健全な形といえますね。
その通りだと思います。既存の社員はもちろんのこと、Z世代をはじめとする、これから入社する人材には、特に成長に対するガイドが必要だと感じています。仕事のやりがいや楽しみを持ってもらうには、育成、成長が必須だなと。それもあって人材育成制度の確立を意識したんです。

幸い、現在の当社の人材は、定着率も良く、しっかり活躍していますが、この先、従業員から転職や独立の要望が出てきたときは、よく話を聞いて、その真意が働き方に対する要望ならリモートワークや、時短勤務などの望ましい環境を作り出そうという動きにしたいと考えています。

 

――従業員の物心両面の充実を目指される大窪鐵工所さんらしい、働く人を大切にする考え方ですね。社風が素晴らしいのも納得です。実際に、キャリア自立を推進している会社の方が業績が高いというデータもあります。自分のキャリアを大切にしてくれる会社には貢献意欲も高まりますよね。

――講義やワークについてもお伺いしたいと思います。新たな発見や気づきはありましたか?
can」を「will」に近づけていくお話は、私自身のありたい姿を明確にして、行動意欲がわいてきたように思います。偶然をチャンスに変えるというお話も良かったです。箕作先生のキャリアが実例なのが、説得力ですよね。

何より、自らのスキルを高めることが、会社のためにもなり、自分自身の人生そのものをよくすることだということ、そして、それを実行するには中小企業の環境がとても良いものだということは、従業員に伝えたかったところでもありますし、抜群に良かった内容だと思います。

――ありがとうございます。私自身が中小企業出身なので、中小企業こそチャンスがたくさんあるというのは、かねてから強く主張したいと思っていたんです。共感いただいて本当に嬉しいです。

――その後、研修を終えて1か月ほどになりますが、従業員様の働き方や考え方に変化はあったでしょうか?
はい、普段から接している従業員の様子や、数人へのヒアリングだけでもいろいろな変化があったことがわかりました。

まず20代の女性社員です。そもそも保守的な思考があって、難しそうなことやわからないことは始めからやらないと食わず嫌いな姿勢だったんですが、挑戦することや視野を広く持つことが大事だと学びましたと語っていて、「私が何をすればこの会社の役に立てるか考えるようになった」という会社にとって本当に有り難い言葉が出てきました。

さらに、この社員については、行動変革に関するタイムリーなエピソードがあります。以前は、受講を拒否続けていた研修に、今日・明日で参加しています。上司の目から見ても、非常にモチベーション高く頑張っているとの評価が聞こえてきました。

 

――すごい変化ですね!短期間で具体的な考え方や行動の変化として現れたというお話を伺って、とても嬉しいです。開発者冥利に尽きるエピソードです。
他にも、20代の昼夜勤勤務の男性社員について、上司に話を聞いたところ、研修を受けて以来、後輩の面倒見が良くなったという報告を受けています。。夜勤を実施しているので勤務交替時に申し送りのメモを残すのですが、今までは、「コレをしといて」「アレができていなかった」という指示や指摘ばかりだったのが、「この作業は大変だろうからやっておきます」「無理をせず任せてください」、といった自発的な心配りの言葉が増えたということです。もしかすると、いずれ自分がリーダーになったときの関係性を考えて下地作りに向けて舵を切ったのかもしれないなと思います。

 

――視野の広がり方がすごいですね。思っていた以上に変化の広がりがあってとても興味深いです。若い社員さん方の変化は本当に頼もしいですね。管理職の方はいかがでしたか?
参加した工場長は、仕事を通じて成長できるという学びが印象深かったと言っていて、工場長だからこそ関わる案件やそれに紐づく人たちとの関わりから多くの成長を実現しようという心持ちで仕事に取り組むようになったということです。さらに、管理職として、自らの成長はもちろんのこと、部下の強み・弱みを理解したうえで未来へのガイドを引く、部下の成長を実現する役割に対して、もっと具体的に取り組んでいかなくてはと考えるようになったようです。

 

――こちらも嬉しいお話をありがとうございます。いくら若い方が変化しようとしても、管理職に変化がなければ会社全体は変わっていきませんよね。今回は、管理職の方にもご参加いただけて、そして多くのことを考えてくださったので余計に効果が高いのかもしれません。

――全体の研修の効果はとしてはご期待に添うことはできたでしょうか。
期待以上です。

自分の行動が変わって、周りがその変化を評価することが、本人のモチベーションが高まる、仕事が楽しくなる…とこれからさらに好循環に入っていくように思います。

 

――それは理想的なスパイラルですね。一過性のものでは大きな変化をもたらすのは難しいので、日常の関係の中で長期的な変化に変えていくことも重要だと思います。

――中小企業ではなかなかキャリア教育まで手がまわらないというところも多いですが、今後、中小企業のキャリア支援についてはどのようにお考えですか?
今後、最も大切な部分だと考えています。

従来の中小企業の製造業には、「背中を見て学べ」という風潮がありましたが、それを前面に押し出していると人が採れない、定着しないというアンマッチが生じてしまいます。時代も環境も変化する中で、『仕事・学びを通じて自らのスキルを高め、人生を幸せにしよう』という価値観は、多くの方々に共感して頂けると信じています。また、この価値観をしっかりと実感出来る会社環境、仕組みを整備することが重要だと感じます。

 

――会社の環境を作っていく。とても大切な視点ですね。そのような会社作り、キャリア支援の一環として、キャリアストームはどのような形で取り入れるのが効果的だと思いますか?
2年目を迎える社員を対象に実施するのが良いように考えています。

1年仕事をしてみて自分の人生の中に仕事という項目が増えた状態でキャリアストーム研修をやるのが、研修効果を最大化すると思っています。

私自身がインストラクター養成講座を受講して、内製化でやっていくつもりです。

 

――ありがとうございました。いいお話をたくさん伺って、こちらも励みになりました。是非これからも、キャリアストームをご活用ください。

 

<執筆 石川梨絵子(キャリアストーム認定インストラクター/中小企業診断士)>

 

※株式会社大窪鐵工所様のブログにも、本研修に関する記事「キャリアストーム~自分の価値向上~」を掲載いただいています。是非ご覧ください。

※本研修に関する紹介記事「【導入事例】人材育成制度の端緒としてのキャリアストーム研修」もご用意しています。是非ご覧ください。